KANTO ONSEN · 泉質で選ぶ

関東の温泉 読本
── 泉質で選ぶ、32の湯

温泉選びは「有名かどうか」ではなく「湯の中身」で決められます。しかも中身は、脱衣所の掲示を見れば法律で開示されている。このガイドは、関東+隣接の温泉を泉質で4色に分けた地図と、その読み方でできています。営業時間・料金・駐車場・冬季規制はすべて公式で確認し、取れなかったものは「未確認」と書きました。

32エリア 泉質で4色に色分け 日帰り+泊まり 車で行く前提 2026年8月時点
⚠ 先に、行く前に確認したい3つ
① 閉まっている湯があります。鬼怒川公園岩風呂は2024年3月末で閉館(老朽化)、塩原のもみじの湯は2022年12月から休止、湯河原の独歩の湯は2020年に閉館して現存しません。湯河原惣湯テラスも2025年10月から休業中で、再開は2026年9月18日です。
② 冬は道が閉まります。国道120号の金精道路(例年12月下旬〜4月下旬)、那須高原線の大丸温泉より先(2025年度は12/15〜3/27)、塩那道路、塩原矢板線。冬に山の湯へ行くなら、まず道路情報から。
③ 「日帰り」は受付終了が驚くほど早い。法師温泉は受付13:30まで・水曜休、大丸温泉は14:30受付終了、筑波山 江戸屋は14:00受付終了。夕方に思い立って行ける湯は、実はそんなに多くありません。

1温泉の読み方 ── 脱衣所の掲示が、いちばん正確な情報源

温泉選びで最初に知っておくべきなのは、有名な湯の名前ではなく「掲示の読み方」です。宿の広告は自由に書けますが、脱衣所の掲示だけは法律で内容が決まっているからです。

加水・加温・循環・消毒は、掲示が「義務」です

根拠は温泉法第18条第1項。源泉名・成分・禁忌症・入浴上の注意は温泉法ができた当初(1948年)から掲示義務でしたが、2005年5月24日に施行規則が改正され、次の4つが追加されました。

加水水を加えている場合は「その旨」と「その理由」
加温加温している場合は「その旨」と「その理由」
循環・ろ過循環させている場合は「その旨(ろ過の有無を含む)」と「その理由」
入浴剤・消毒入浴剤名または消毒の方法と、その理由
ポイントは「理由まで書かせている」ことです。「加温あり(源泉温度が15℃のため)」と書いてあれば、それは冷鉱泉であって、ごまかしではありません。逆に、宿のサイトに「源泉かけ流し」とあるのに掲示に「循環ろ過あり」と書いてあれば、掲示のほうが正しい。違反すると30万円以下の罰金です。

「源泉かけ流し」に法的定義はありません

国民生活センターは「温泉法において『源泉かけ流し』という用語は使用されていない」と明言しています。表示が曖昧なまま使うと景品表示法違反となる懸念があり、実際に不当表示として指摘された事例もあります。

代わりに参照されるのが日本温泉協会の定義です。ここに決定的な違いが1つあります。

用語意味加水加温
源泉かけ流し
(源泉完全放流式)
常時新湯を注ぎ、あふれた湯は再利用しない不可可
かけ流しあふれた湯を再利用しない可可
放流・循環併用式あふれた湯の一部をろ過して再利用——
循環式浴槽の湯を吸引して戻し、再利用——
「源泉かけ流し」と「かけ流し」は同義ではありません。違いは加水の可否だけ。看板に「かけ流し」とだけ書いてある湯は、加水している可能性があります。なお「天然温泉」の表示も法律の基準ではなく、日本温泉協会が1976年に作った業界の自主基準です。

「温泉」と「療養泉」は別物です

温泉法第2条の「温泉」は、25℃以上、または19の指定物質のいずれかが規定量以上あればそれで温泉です。どちらか一方でよいので、冷たくても成分が足りていれば法的には温泉になります。

一方、泉質名と適応症を掲示できるのは「療養泉」だけ。療養泉の基準は温泉法より厳しく設定されています。

 温泉法の「温泉」「療養泉」
遊離二酸化炭素250mg以上1,000mg以上
総硫黄1mg以上2mg以上
総鉄イオン10mg以上20mg以上
よう化物イオン1mg以上10mg以上
温度の呼び分けも決まっています。25℃未満=冷鉱泉/25〜34℃=低温泉/34〜42℃=温泉/42℃以上=高温泉。秩父の湯の多くが「冷鉱泉」なのは、この分類のせいで湯の質が悪いという意味ではありません。

2地図

関東の温泉マップ ① ── 群馬・新潟南部 色は泉質。関東の「本物の火山の湯」はこの一帯に集中しています。 酸性・硫黄泉(火山の濁り湯) 塩化物・硫酸塩泉(温まる湯) アルカリ性単純泉(ツルツル) 冷鉱泉(加温前提) N 谷川連峰 草津白根 赤城山 関越道 志賀草津道路 万座ハイウェー 前橋 高崎 沼田 渋川 桐生 越後湯沢駅 1 草津温泉 自然湧出量 日本一・pH2.1 2 万座温泉 標高1,800m・硫黄泉 3 四万温泉 積善館 元禄の湯(昭和5年) 4 伊香保温泉 石段365段・黄金の湯 5 法師温泉 足元湧出・国登録有形文化財 6 宝川温泉 大露天・湯浴み着必須 7 越後湯沢・貝掛温泉 貝掛は37℃のぬる湯 8 老神温泉 朝市が名物 実際の緯度経度をもとに配置していますが、海岸線・高速道路は簡略化した模式図です。番号は本文のスポット番号に対応します。

① 群馬・新潟南部(1〜8)。関東で「火山の濁り湯」に入れるのは、ほぼこの一帯だけです。

関東の温泉マップ ② ── 栃木・茨城 那須と塩原と日光は、関東で数少ない「山の硫黄泉」。ただし冬は道が閉まります。 酸性・硫黄泉(火山の濁り湯) 塩化物・硫酸塩泉(温まる湯) アルカリ性単純泉(ツルツル) 冷鉱泉(加温前提) N 太平洋 日光連山 那須岳 高原山 東北道 北関東道 常磐道 日光宇都宮道路 宇都宮 水戸 日光 土浦 那須塩原駅 笠間 9 日光湯元温泉 温泉寺は4月下旬〜11月末のみ 10 奥鬼怒温泉郷 マイカー進入不可 11 川治・鬼怒川温泉 薬師の湯 混浴露天は冬季休み 12 塩原温泉郷 塩原十一湯・6泉質7泉色 13 那須湯本 鹿の湯 41〜48℃を6槽で使い分け 14 袋田温泉・大子温泉 滝とセットで。町営P 223台 15 筑波山温泉 江戸屋は受付14:00まで 実際の緯度経度をもとに配置していますが、海岸線・高速道路は簡略化した模式図です。番号は本文のスポット番号に対応します。

② 栃木・茨城(9〜15)。那須・塩原・日光が硫黄泉の本場。ただし冬は道が閉まるのがこの地図の弱点です。

関東の温泉マップ ── 南関東+隣接(東京・神奈川・埼玉・千葉・伊豆) 都心から近い湯は、アルカリ性か冷鉱泉が中心。「加温してある=悪い」ではありません。 酸性・硫黄泉(火山の濁り湯) 塩化物・硫酸塩泉(温まる湯) アルカリ性単純泉(ツルツル) 冷鉱泉(加温前提) N 東 京 湾 相 模 湾 駿河湾 秩父・奥多摩の山 丹沢 箱根 天城 房総丘陵 甲府盆地 東名 中央道 関越道 圏央道 アクアライン 館山道 西湘BP 東京 横浜 千葉 大宮 八王子 小田原 木更津 沼津 16 秩父 満願の湯ほか 単純硫黄冷鉱泉 pH9.3 17 奥秩父・両神 薬師の湯 pH9.2 18 名栗温泉(飯能) 一軒宿の冷鉱泉 19 奥多摩 もえぎの湯 月曜休・受付が早い 20 檜原 数馬の湯 アルカリ性単純温泉 21 ほったらかし温泉 日の出1時間前から(山梨) 22 東京の黒湯(大田区) フミン酸の黒い湯 23 七沢・飯山(厚木) 七沢荘 pH9.78 24 鶴巻温泉(秦野) カルシウム2,580mg/kg 25 中川温泉(山北) ぶなの湯 pH10.1 26 箱根十七湯 湯場ごとに泉質が違う 27 湯河原温泉 万葉集に詠まれた湯 28 熱海温泉 家康が7日湯治した記録 29 修善寺・伊豆長岡 独鈷の湯は見学のみ 30 養老渓谷温泉 化石海水の黒湯 31 外房の海の湯 勝浦・鴨川の展望風呂 32 館山 里見の湯 23:00まで・年中無休 実際の緯度経度をもとに配置していますが、海岸線・高速道路は簡略化した模式図です。番号は本文のスポット番号に対応します。

③ 南関東+隣接(16〜32)。都心から近い湯はアルカリ性か冷鉱泉が中心。箱根と湯河原と熱海だけが例外的に「温まる湯」です。

3泉質10種類 早わかり

環境省が適応症を定めている「療養泉」は10種類です。「含よう素泉」は2014年に新設されたもので、それ以前の資料は9種類しかありません。古い本と食い違うのはこれが理由です。

泉質浴用の適応症(環境省)関東でどこにあるか
単純温泉自律神経不安定症、不眠症、うつ状態箱根湯本・塔之沢、修善寺、川治、伊豆長岡。成分が薄い=刺激が少ないという意味で、悪い湯ではありません
塩化物泉きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症熱海、湯河原、宮ノ下・底倉、鶴巻、塩原の多く。湯冷めしにくい「温まりの湯」
炭酸水素塩泉きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症伊香保(黄金の湯に含む)、塩釜・古町(塩原)、養老渓谷
硫酸塩泉塩化物泉と同じ法師温泉(石膏泉)、四万、伊香保、みなかみ一帯。国民保養温泉地に指定された湯が多い
二酸化炭素泉きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症関東にはほぼありません
含鉄泉(浴用の適応症は設定なし)/飲用は鉄欠乏性貧血伊香保の黄金の湯が鉄の酸化で茶褐色になります
酸性泉アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症草津(pH2.1)、万座、那須湯本、塩原新湯。関東の酸性泉は貴重です
含よう素泉(浴用の適応症は設定なし)/飲用は高コレステロール血症千葉の化石海水型に含まれることがあります
硫黄泉アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型はさらに末梢循環障害)日光湯元、奥鬼怒、塩原元湯・新湯、芦之湯、那須。秩父の冷鉱泉にも硫黄が含まれます
放射能泉高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など関東では少数
「妊娠中は禁忌」は削除されています。2014年7月1日の環境省通知の改正で、一般的禁忌症から「妊娠中(とくに初期と末期)」が外れました。医学的根拠が乏しいという判断です。ただしこれは「妊婦は入るべき」という推奨ではなく、一律の禁忌ではなくなったという意味です。転倒やのぼせのリスクは別に残ります。
なお酸性泉と硫黄泉には泉質別の禁忌症があります ──「皮膚または粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症」。草津や那須で肌がヒリヒリするのは、気のせいではありません。

「美肌の湯」に定義はありません

環境省の適応症のどこにも「美肌」「美人の湯」という言葉は出てきません。pHによる分類も存在しません。それでも実感に差があるのは事実なので、作用のしかたで分けて考えるのが正確です。

ちなみに「強アルカリ性」は分析書の正式区分ではありません。環境省の鉱泉分析法指針の液性区分は酸性(pH3未満)/弱酸性/中性/弱アルカリ性/アルカリ性(pH8.5以上)の5段階だけで、pH10でも書類上は「アルカリ性」。「強アルカリ性」は宣伝用の言い方です。だから実測値で語るほうが正確です。

4温泉地の中身

群馬・新潟南部 ── 関東で「火山の湯」に入れる場所1〜8
1草津温泉酸性・含硫黄

群馬県観光公式が「毎分32,300L以上が湧きだす日本一の自然湧出量」と記載。草津町公式は「pH2.0前後」「五寸釘が10日ほどで溶ける」と書いています。湯畑の湯樋は長さ40m・幅45cm・高さ18cmが7本。

源泉によってpHが3倍違います。湯畑源泉はpH2.1、万代鉱源泉はpH1.7(試験室測定で1.61〜1.75)・94.6℃・毎分6,200L。同じ草津でも宿によって湯が違うので、掲示の源泉名を見てから入ると面白い。
「時間湯」はもう体験できません。2019年に湯長制度が廃止、2020年4月に利用形態変更、2021年3月30日に地蔵の湯の時間湯が閉鎖(いずれも草津町公式)。現在は「伝統湯地蔵」等の別形態で、予約制・団体単位です。湯もみ自体は熱乃湯のショーで見られます。
西の河原露天風呂=4〜11月7:00〜20:00/12〜3月9:00〜20:00・受付19:30・800円・約500㎡・毎週金曜17:30〜20:00は混浴の日/大滝乃湯=9:00〜21:00(最終入館20:00)・1,200円・煮川源泉の合わせ湯/御座之湯=7:00〜21:00(冬8:00〜)・湯畑と万代の2源泉
駐車場は天狗山(第1 300台ほか計860台超)が完全無料・平面・シャトルバスあり。湯畑周辺は道が狭く一方通行が多いので、大きい車はこちらが確実です
2万座温泉硫黄泉

標高1,800m、日湧出量1日540万リットル、泉質27種類。硫黄含有量については万座温泉公式が「日本一ともいわれる」と書いており、断定はしていません。

日帰りは7軒。豊国館 8:30〜16:30(受付15:30)・800円/日進舘 10:00〜17:00(受付16:00)・1,000円/万座高原ホテル 11:00〜18:00(受付17:00)・1,700円
冬は国道292号が閉鎖されるので、万座ハイウェー(普通車1,070円・21km・30分)が唯一の道になります
3四万温泉塩化物・硫酸塩

上毛かるたの「世の塵洗う四万温泉」。積善館は本館が元禄4年(1691年)建築、開業が元禄7年(1694年)で、両方の年が出回るのはこのためです。

「元禄の湯」は昭和5年(1930年)の建築です。名前と年代が100年以上ずれています。大正ロマネスク風のアーチ窓の浴室で、国登録有形文化財は「山荘」(1936年)のほう。元禄の湯が入る建物「前新」は中之条町指定です。「日本最古の湯宿建築」も積善館自身が「伝えられています」と伝聞形で書いています。
積善館 日帰り 10:00〜17:30(最終受付17:00)・1,500円(フェイスタオル付)・入れるのは元禄の湯のみ/日帰り客は町営 桐の木平駐車場(無料)へ。※本館駐車場の入口通路は幅230cm×高さ250cmと狭いので、宿泊で大きい車を入れるときは要注意
共同浴場(上の湯・河原の湯)は9:00〜15:00と短く、御夢想の湯は協会サイトで「休業中」表記
4伊香保温泉硫酸塩・炭酸水素塩

石段街は天正4年(1576年)に形成されたといいます(=伝承)。中央に湯樋を伏せて左右の宿へ引湯した「日本初の計画的温泉町」と渋川市が説明しています。

365段になったのは2010年です。「1年365日賑わうように」と北側に石段を追加した結果で、それ以前は違う段数でした。今の石段自体も1980〜85年の5年がかりの大改修によるみかげ石です。
黄金の湯と白銀の湯は別物です。黄金の湯=カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉で、鉄分が酸化して茶褐色。白銀の湯=メタけい酸が基準を超えるために温泉に該当する「冷鉱泉」で無色透明、毎分110L。「伊香保に来たのに透明だった」と驚くのはこれです。
伊香保露天風呂=4〜9月9:00〜18:00/10〜3月10:00〜・最終17:30・600円・毎月第1・第3木曜休(8月は無休)・洗い場なし/石段の湯=10:00〜20:00(最終19:30)・800円・第2・第4火曜休
駐車場はP1 徳冨蘆花記念文学館(70台)か物聞(62台)が有人・平面で確実。P2〜P4はロック板式で区画が小さめです
5法師温泉 長寿館硫酸塩泉(石膏泉)

今回のリストで建物と湯の両方がいちばん濃い一軒宿。「法師乃湯」は明治28年(1895年)建築、木造平屋・寄棟造・杉皮葺、建築面積119㎡、棟に櫓状の換気口。2006年に国登録有形文化財(本館・法師乃湯・別館の3棟)。

浴槽の底の玉石の間から湯が湧いています。「足元自然湧出」といって、配管を通らずに直接浴槽に湧く形式。全国でも数えるほどしかありません。カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉・43℃。
日帰りは受付11:00〜13:30、館内は14:00まで、水曜休。実質「午前中だけ」です。大人1,500円。この時間帯の法師乃湯は混浴で、女性専用時間(20:00〜22:00)は宿泊者向けです。
6宝川温泉 汪泉閣硫酸塩系

渓流沿いの巨大露天。2019年4月1日から、混浴エリアは男女とも湯浴み着の着用が必須になりました(外国人客の増加と若い世代への配慮が理由と公式ブログに記載)。

日帰り 10:00〜16:30(最終受付16:00)・大人1,500円・水曜と木曜が定休/タオル・湯浴み着レンタル各200円、持参の湯浴み着は使用不可/刺青・タトゥーは入浴不可と公式に明記/駐車場150台(大型10台対応)
7越後湯沢・貝掛温泉塩化物系

関越トンネル(下り10,926m)を抜けてすぐ。湯沢町観光公式は「開湯900年以上」としています。

貝掛温泉は「目の湯」として文献に残っています。ここは伝説と史実がきれいに分かれる例で、開湯の禅師伝説は伝承ですが、1486年に歌人・堯恵が記録、江戸中期には三俣宿の庄屋が「目を患う者多く来りて浴し候」と書き、1882年には湯守が眼病用の目薬「快眼水」の製造販売許可を取得しています。自然湧出 毎分約400L・37℃前後のぬる湯で、無加水のまま熱交換で約41℃に上げた浴槽もあります。
「日本三大目の湯」の残り2つは姥子温泉(箱根)と微温湯温泉(福島)/貝掛の日帰り時間・料金は公式で確認できず=未確認(025-788-9911)
8老神温泉単純温泉/硫化水素

「関東一」と称される朝市が名物(4月20日〜11月20日、毎朝6:00〜7:30、観光会館横)。

泉質の記載が食い違っています。沼田市公式は「石膏泉、単純硫化水素泉・55度前後」、老神温泉観光協会公式は「単純温泉・源泉61.5℃/使用位置44.8℃」。源泉が複数あるためと思われますが、どちらが今の湯かは未確認です。
栃木・茨城 ── 硫黄泉の本場、ただし冬は道が閉まる9〜15
9日光湯元温泉単純硫黄泉

奥日光。硫化水素型の単純硫黄泉、泉温49.3〜78.9℃(旅館協同組合公式)。酸化して黄白色の湯の花が出ます。788年に勝道上人が発見し「薬師の湯」と名付けたと日光市が記載していますが、史料の提示はなく伝承です。

日光山温泉寺(輪王寺別院)=4月下旬〜11月末のみ・8:00〜17:00(受付16:30)・500円。冬は閉湯します
いろは坂は冬も通行可ですが凍結多発。国道120号の金精道路は例年12月下旬〜4月下旬が閉鎖で、群馬側へは抜けられません
10奥鬼怒温泉郷(加仁湯・八丁の湯・日光沢・手白澤)硫黄泉

関東でいちばん行きにくい温泉。日光市公式が「奥鬼怒温泉へは自家用車の乗り入れができません」と明記しています。

日帰りだと片道90分の徒歩になります。一般車は市営 女夫渕駐車場(無料)まで。その先は林道でマイカー進入不可。送迎バスは八丁の湯の公式リーフレットに「宿泊者専用で事前予約が必要」「日帰り利用客は送迎バス利用不可」と書かれています。カーナビは「八丁の湯」ではなく「女夫渕無料駐車場」で設定するよう公式が指示。冬は登山装備が必要。
泉質(日光市公式)=加仁湯 硫黄泉/八丁の湯 単純泉/手白沢 単純硫黄泉・弱アルカリ/日光沢 含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。女夫渕駐車場の台数は公式に記載なし=未確認
11川治・鬼怒川温泉アルカリ性単純温泉

「傷は川治、火傷は滝」ということわざが有名ですが、日光市・観光協会の公式では確認できませんでした。言い伝えとして扱うのが安全です。

鬼怒川の公営日帰り湯は消滅しました。鬼怒川公園岩風呂(日光市営)が2024年3月31日に閉館(老朽化による安全確保のため)。代替施設の案内は市公式にありません。現在は各旅館の日帰りプランが中心です。
川治の共同浴場「薬師の湯」=10:00〜20:00(最終受付19:30)・水曜休・一般700円(日光市民300円)・男湯/女湯/混浴の3つの岩風呂。混浴露天は18:00まで、しかも12月1日〜3月31日は休館。貸切風呂4,000円(50分)
12塩原温泉郷6泉質7泉色

「塩原十一湯」=大網・福渡・塩釜・塩の湯・畑下・門前・古町・中塩原・上塩原・新湯・元湯。歩いて回れる距離に泉質が6種類そろっているのがこの温泉郷の特徴です。療養泉10種のうち硫酸塩泉・塩化物泉・炭酸水素塩泉・単純温泉・硫黄泉・酸性泉の6つが実際にそろいます。

湯場ごとの性格が明確に違います。元湯=最も歴史が古い硫黄泉(透明/緑白色/黒色)。新湯=山津波の後に湧いた硫黄泉・酸性泉(乳白色)。塩の湯=塩分が最も強い。古町=宿が最も多い。中塩原=歴史が最も新しい。
共同浴場は休止が続いています。もみじの湯(古町・川沿いの混浴露天)は2022年12月から休止とみられ、複数の情報源が現在も「休業中」と表記。訪問前に塩原温泉観光協会へ電話確認を。新湯の3浴場(寺の湯・中の湯・むじなの湯)は7:00〜18:00・各300円で、寺の湯は混浴。2025年5月時点で寺の湯・中の湯は再開しています。
開湯806年は伝承です。那須塩原市の歴史文化基本構想が「大同元年(806)に発見されたと伝えられる」と書いており、確認できる最古の実記録は安永4年(1775)に5,000人超の入湯者があったというもの
もみじ谷大吊橋=8:30〜18:00(11〜3月は16:00)・年中無休・大人300円・駐車場は左岸 小型123台+大型8台、右岸25台、いずれも無料。大型バス対応の平面なので大きい車も安心
13那須湯本 鹿の湯単純酸性硫黄温泉

今回のリストでいちばん「湯治場」らしい共同浴場。41・42・43・44・46・48度の6槽を使い分けます(女湯には48度がなく5槽。45度と47度は存在しません)。入り方も決まっていて、かぶり湯のあと「腰まで1分・胸まで1分・首まで1分」、1回約15分、1日4回まで。

ここは開湯の史料がある珍しい温泉です。伝説では舒明天皇の御世(7世紀前半)ですが、天平10年(738年)の正倉院文書『駿河国正税帳』に「小野朝臣が従者12人を伴って湯治のため那須温泉に向かう」記述があります。塩原の806年・日光の788年が伝承どまりなのに対し、那須だけは文献で裏が取れます。
石けん・シャンプーは使用禁止です。硫黄泉で泡立たず、床が滑って危険なため。しかも現金のみ。泉質は単純酸性硫黄温泉(硫化水素型)・pH3未満。
8:00〜18:00(最終受付17:30)・年中無休(不定期メンテ休あり)・大人500円・駐車場約50台/記念入浴タオル400円(無料貸出はなし)
大丸温泉旅館=川をせき止めた露天。日帰り11:30〜14:30受付終了・1,300円・フェイスタオルと湯浴み着込み・入れ墨不可と明記・大丸県営駐車場30台。台風・大雨・大雪・強風で休止します(川そのものなので)
北温泉旅館=8:30〜16:30・700円・1〜3月は火曜休。駐車場から宿まで「たいへん急な坂道」で車では下りられません
14袋田温泉・大子温泉(茨城)アルカリ性単純温泉

袋田温泉はアルカリ性単純温泉。かつては田んぼから自然に湧いたため「田毎(たごと)の湯」と呼ばれました。

袋田の滝の料金が変わっています。2025年7月1日から大人500円/子ども300円。大子町観光協会のサイトは旧料金(300円/150円)のままなので、町公式が正です。
滝の営業=5〜10月8:00〜18:00/11月8:00〜17:00/12〜4月9:00〜17:00・年中無休/町営駐車場は第1 42台・第2 223台が無料(平面)、民間有料 約700台
日帰りは森林の温泉(ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉、第1・3水曜休)、道の駅 奥久慈だいご(同、第1・3水曜休)、滝美の湯 白木荘(アルカリ性単純泉、火曜休)。いずれも営業時間・料金は町公式に記載なし=未確認
15筑波山温泉アルカリ性単純泉

関東平野を見下ろす位置。江戸屋の日帰りは11:30〜15:00(受付は11:30〜14:00)・大人1,500円(ハンドタオル付)・駐車場25台。受付14:00終了なので、午後に思い立って行くと入れません。

茨城は温泉が少ない、は数字の上では概ね本当です。環境省の令和6年度調査で茨城県の温泉地数39・源泉総数157に対し、栃木県は66・633。源泉数で約4倍の差があります。「ゼロではないが、高温の自噴泉が乏しい」というのが実態です。
神奈川 ── 箱根と湯河原、そしてpHの高い里山の湯23〜28
26箱根湯場ごとに違う

公式は「箱根十七湯」です。箱根町観光協会が挙げるのは 湯本・塔之沢・大平台・宮ノ下・堂ヶ島・木賀・底倉・二ノ平・小涌谷・強羅・宮城野・仙石原・姥子・芦之湯・湯の花沢・蛸川・芦ノ湖 の17。大涌谷は十七湯に含まれません(供給元という位置づけ)。「二十湯」は十七湯+早雲山・大涌谷・湖尻の通称で、公式呼称ではありません。江戸期の箱根七湯は 湯本・塔之沢・堂ヶ島・宮ノ下・底倉・木賀・芦之湯。

箱根の源泉は345本、湧出量は毎分約19,500L。これは神奈川県全体のほぼ6割です(神奈川県温泉地学研究所)。硫黄を含む源泉は中央火口丘とその周辺にしかなく、湯本まわりはナトリウム-塩化物泉。だから「箱根の湯」とひとくくりにできません。芦之湯だけが単純硫黄泉で濁ります。
大涌谷の湯は「造成温泉」です。小田急箱根の公式説明によれば、100℃近い噴気と、山中の水源から集めた約13℃の湧水を造成桝で混ぜて約60℃にする方式。これを強羅・早雲山へ総延長約6,800mの送湯管で自然流下させています。仙石原も大涌谷と姥子からの引湯。「大涌谷の湯=地下から湧いた湯」ではありませんが、成分は本物です。
大涌谷は噴火警戒レベル1でも「警戒区域」のままです。県道734号は大涌谷三叉路〜駐車場が原則通行止めで9:00〜17:00のみ通行可。ハイキングコース(駒ヶ岳〜大涌谷〜早雲山/姥子)は通行止め。自然研究路は完全予約制の引率入場(協力金800円/1日4回/各回30名/小学生以上)。火山ガスのため呼吸器・心臓疾患のある方は控えるよう県が勧告しています。
天山湯治郷=9:00〜23:00(最終受付22:00)・大人1,450円・現金のみ・年中無休(12月中旬に5日ほど休館)・源泉のひとつはpH9.3・タトゥーはひとりなら可、複数名は不可(箱根では珍しい条件付き可)
箱根小涌園ユネッサン=森の湯 11:00〜20:00(最終19:30)・森の湯のみ1,500〜1,800円・駐車場510台(2時間まで無料、以降 平日1,300円/土日祝1,600円)・タトゥーはカバーシールで可
箱根湯寮=平日10:00〜20:00(最終19:00)/土休日〜21:00・アルカリ性単純温泉・箱根湯本駅から無料送迎バス。駐車場台数は未確認
姥子 秀明館=木曜休・2月は冬季休業・湯床2時間2,000円〜/入湯のみ1,500円は15:00〜16:00受付のみ・岩盤自然湧出・石鹸シャンプー使用不可・刺青不可・段差が多くバリアフリーではありません
芦之湯 きのくにや=創業1715年(正徳5年)。ただし「箱根最古の宿」は公式で確認できず、断定は避けるべきです
箱根町の町営駐車場は宮ノ下(21台)と箱根(24台)の2つだけで、箱根湯本にはありません。しかも宮ノ下駐車場は2026年10月1〜30日、改修工事で一般利用不可
27湯河原温泉塩化物・硫酸塩系

源泉109本、泉質5種類(湯河原温泉観光協会)。最も多いのが含石膏-(弱)食塩泉。

万葉集に詠まれています。巻十四・3368番(東歌/相模国)「足柄の土肥の河内に出づる湯の 世にもたよらに 児ろが言はなくに」。ただし表現に注意で、公式の言い回しは「東日本/東国で唯一」です(神奈川県立の図書館・湯河原温泉公式)。「関東唯一」と書くと出典と食い違います。
足湯「独歩の湯」は2020年3月末で閉館し、現存しません。跡地は万葉公園の再整備で湯河原惣湯になりました。その惣湯テラスも2025年10月14日から休業中で、再開は2026年9月18日。玄関テラス(足湯・カフェ)は営業しています。
こごめの湯(町営)=9:00〜21:00(最終受付20:30)・月曜休・9:00〜19:00は大人1,100円、19:00〜21:00は600円・駐車場60分100円。泉質の正式名称・pHは未確認
23七沢・飯山温泉(厚木)アルカリ性

都心から最も近い「pHの高い湯」。七沢荘の源泉はpH9.78(施設公式)。厚木市公式は「強アルカリ泉」とだけ書き、pH値・正式泉質名は公開していません。

七沢荘 日帰り=8:00〜19:30(最終受付19:00、入館から2時間)・平日1,100円/土日祝1,700円・営業カレンダー制・タトゥーはテープで隠すか貸切風呂なら可・第1〜第3駐車場(無料・台数非公表)
広沢寺温泉 玉翠楼は「日帰り入浴のみのご利用はできません」と公式に明記。食事付きプランのみで、昼食コースは最終受付13:00。入れ墨・タトゥー・タトゥーシールは入場不可
25中川温泉(山北)アルカリ性単純温泉 pH10.1

今回調べた中でpHが最も高い湯。山北町公式がpH10.1と明記しています。町営「ぶなの湯」があるので気軽に入れます。

ぶなの湯=平日10:00〜18:00(受付17:00)/3〜11月の土日祝は19:00まで・月曜休(祝日なら翌日)+12/28〜1/4・2時間750円/1日1,050円・タオル販売250円
24鶴巻温泉(秦野)カルシウム・ナトリウム-塩化物泉

小田急で新宿から1時間の駅前温泉。カルシウム含有量が露天1,110mg/kg・内湯2,580mg/kgと秦野市公式が数値を公開しています。

「日本有数のカルシウム含有量」は秦野市自身が公式に使っている表現ですが、根拠となる全国順位データは公表されていません。ネット上の「世界一」は自治体公式のものではないので、書くなら「秦野市が公式に日本有数と称している」までにとどめるのが正確です。
弘法の里湯=10:00〜21:00(最終受付20:00)・月曜休・平日1日1,000円/2時間800円、土日祝2時間1,000円・タオルのレンタルなし(売店で購入)・駐車場1時間150円
28熱海温泉(隣接)ナトリウム・カルシウム-塩化物泉

泉質は約99%が塩化物系。開湯伝説(仁賢天皇・万巻上人)は伝承ですが、徳川家康が慶長9年(1604年)に7日間逗留して湯治した記録が『徳川実紀』にあるのは史実です。

大湯間欠泉は人工です。明治中期に自噴が停止 → 関東大震災で再開 → 昭和初期に再停止 → 昭和37年(1962年)に市営温泉を引き湯して「人工の間欠泉」として整備されたのが今の姿。かつては「世界三大間欠泉」と謳われました。「日本三名泉」は有馬・草津・下呂で、熱海は入っていません。
熱海の日帰り施設(日航亭 大湯/福島屋旅館/オーシャンスパFuua)は、今回、公式サイトに到達できず営業時間・料金がすべて未確認です。行く前に各公式か電話で確認してください。
埼玉・東京・千葉 ── 冷鉱泉と黒湯の世界16〜22 / 30〜32
16秩父(満願の湯・新木鉱泉・柴原)単純硫黄冷鉱泉

「埼玉に温泉はない」は誤りです。環境省の令和6年度調査で埼玉県は温泉地数31・源泉総数117。正しくは「高温の自噴泉が少ない」で、秩父の名湯はほぼ冷鉱泉です。

数字で見ると分かりやすい。新木鉱泉旅館=単純硫黄冷鉱泉・pH9.24・源泉約15℃(創業 文政10年=1827年)。満願の湯=単純硫黄泉・pH9.3・冷鉱泉。柴原温泉 柳屋旅館=単純硫黄泉・pH8.1・泉温11.4℃。11℃の湯を加温しているのは当然で、掲示にもそう書いてあります。
満願の湯=10:00〜21:00(最終入館20:30)・年中無休・平日980円(17時〜750円)/土日祝1,200円・2025年10月1日に料金改定済み・駐車場200台無料・タオルセット300円・刺青・タトゥー(シール含む)不可
新木鉱泉旅館=日帰り12:00〜21:00(受付20:00)・平日900円/休日1,000円・木曜休(年末年始・GW・8月は営業)
柳屋旅館(柴原)=日帰り11:30〜14:30・1,000円・水木金が日帰り休み
17奥秩父・両神(大滝温泉遊湯館・両神薬師の湯)アルカリ性

道の駅に併設された入りやすい湯。両神温泉 薬師の湯=pH9.2のアルカリ性単純温泉、大滝温泉 遊湯館=pH8.4。

薬師の湯=10:00〜20:00(最終入場19:30)・火曜休・中学生以上700円・駐車場58台+大型3台
遊湯館=4/1〜11/30は10:00〜20:00/12/1〜3/31は10:00〜19:00・木曜休・平日800円/土日祝900円・駐車場83台+障がい者用6台
国道140号の秩父陸橋が2024年10月25日から2027年度末まで通行止め(迂回路あり)。秩父方面は所要が読みにくいので余裕を
19奥多摩 もえぎの湯/檜原 数馬の湯アルカリ性単純温泉

都心から最も近い「山の湯」。数馬の湯はアルカリ性単純温泉と公式に明記されていますが、pHと泉温の公表はなく、「強アルカリ性」の裏付けは取れませんでした。もえぎの湯も泉質の正式名称・pHは未確認です。

もえぎの湯=4〜11月10:00〜20:00(受付19:00)/12〜3月10:00〜19:00(受付18:00)・月曜休・2025年4月にリニューアル・現金のみ(料金は改定の可能性あり要確認)
数馬の湯=10:00〜19:00(最終受付18:00)・月曜休・大人1,100円・タオル販売300円/バスタオル700円。都道の通行止めに伴う営業時間変更の告知が檜原村公式に出ていますので、行く前に村公式で道路状況の確認を
22東京の黒湯(大田区)炭酸水素塩泉・塩化物泉

都心のいちばん気軽な温泉。2017年時点で20軒あり、23区内で最多です。

黒いのは、古代の植物です。大田観光協会の公式説明では「古代の植物が微生物によって分解され、地中深くで腐食し蓄積されてできている」もので、正体はフミン酸などの有機物(腐植質)。泥や鉄の色ではありません。蒲田温泉(昭和12年創業・高温黒湯 約45℃)、久が原湯、桜館など。銭湯なので東京都の統一入浴料金です。
30養老渓谷温泉・千葉の黒湯化石海水型

「千葉は冷鉱泉が多い」は事実です。環境省調査で千葉県の源泉144本のうち25℃未満が104本(約72%)、42℃以上はわずか3本。温泉地数は95と多いのに、ほぼ全部が加温前提です。

千葉の黒湯は「化石海水+腐植質」です。銚子ジオパークの調査では犬吠埼温泉の源泉が約1万年前(10,020±80年前/11,320±80年前)の海水起源と測定されており、Cl⁻ 15,695mg/L、Na⁺ 7,663mg/Lというはっきりした塩水。黒い色はフミン酸と腐植質によるものです。北海道の「モール泉」(亜炭・泥炭層由来)とは成因が違うので、養老渓谷をモール泉と呼ぶのは正確ではありません。
養老渓谷の天龍荘は日帰り入浴を休止中(公式に「現在営業しておりません」)。日帰りはごりやくの湯が中心です。
滝見苑けんこう村 ごりやくの湯=10:00〜18:00(最終入館17:00)・水曜休・大人1,200円・タオルレンタル200円・駐車場 乗用車60台+大型5台 無料
31外房・館山の海の湯塩化物系

海を見ながら入るならこちら。千葉県公式観光サイトが挙げるのは edén(勝浦)10:00〜21:00・オールオーシャンビュー、鴨川グランドホテル 11:00〜22:00、三日月シーパークホテル勝浦 10:00〜18:00(土曜21:00)、同 安房鴨川 10:00〜18:00(土曜19:00)。

館山「里見の湯」はオーシャンビューではありません。「緑に囲まれた庭園露天風呂」で、海は見えません。ただし10:00〜23:00(最終受付22:30)・年中無休という使い勝手は今回のリストで随一。平日1,500円/土日祝1,700円。刺青・タトゥーは「一切お断り」と明記。
隣接 ── 伊豆と山梨21 / 29
29修善寺・伊豆長岡アルカリ性単純泉
独鈷の湯は入浴できません。見学のみです。理由は「法律上の浴場としての位置付けではないため」(=公衆浴場法上の許可施設ではない)。かつては入れましたが現在は禁止。さらに2009年4月、桂川の河川改修で元の位置から約19m下流へ移設されています。「伊豆最古の露天風呂に入れる」と思って行くと確実に外します。
「伊豆最古」は確定しません。修善寺温泉観光協会は「弘法大師が開祖とされる修善寺温泉は伊豆半島で最古の温泉地ともいわれています」と伝聞形。一方、伊豆長岡の古奈温泉は「西暦720年頃に発見されたとされる」で、『吾妻鏡』に「伊豆國小名温泉」として記録があり源頼朝の入浴逸話も残ります。年代だけ見れば古奈のほうが古いことになりますが、どちらも伝承です。
21ほったらかし温泉(山梨市)—

甲府盆地と富士山を見下ろす露天。営業が特殊で、日の出1時間前から開きます。

「あっちの湯」「こっちの湯」で営業時間も料金も違いません。公式サイト上はどちらも日の出1時間前〜22:00(最終受付21:30)、大人900円/子供400円、年中無休、駐車場280台無料。日の出の目安は春5時半/夏4時半/秋5時半/冬6時半なので、開場は夏で午前3時半頃、冬で午前5時半頃。片方だけメンテ休止する日があるので直前に公式のお知らせを確認してください。泉質は公式に記載がなく未確認です。
「武田信玄の隠し湯」は史実として扱わないほうがいい肩書きです。代表格の下部温泉について、辞典類は明確に「付会伝説」(後から付け加えられた話)と記載しています。開湯伝説の承和3年(836年)熊野権現説は『甲斐国志』に記録が残りますが、これも「伝承が記録されている」だけ。信玄本人の利用を証明する一次史料は、ほとんどの湯で示されていません。
一方、石和温泉の「青空温泉」は史実です。1961年、旅館の掘削中に毎分2,000L・49℃が湧いて周囲の川や田畑に流れ出し、即席の露天風呂がテレビで全国放映されたのが始まり。

5目的別の選び方

目的迷ったらここ
泉質の強さ草津(pH2.1・湧出量日本一)→ 万座(標高1,800mの硫黄泉)→ 那須湯本 鹿の湯(6槽の湯温別)→ 塩原元湯・新湯。関東で「本物の火山の湯」はこの4か所に集約されます
建物ごと味わう法師温泉 長寿館(明治28年・国登録有形文化財・足元自然湧出)→ 四万 積善館(昭和5年の元禄の湯)。この2つは湯より建物のほうが記憶に残ります
絶景の露天ほったらかし温泉(甲府盆地・日の出1時間前から)→ 宝川温泉(渓流沿いの大露天・湯浴み着)→ 大丸温泉(川そのものが露天)→ edén/鴨川グランドホテル(外房のオーシャンビュー)
車で行きやすい満願の湯(200台無料・21時まで)→ もみじ谷大吊橋(大型バス対応の無料平面)→ 袋田の滝 町営第2(223台無料)→ 草津 天狗山(完全無料・シャトルバスあり)。いずれも平面で高さ制限なし
夜遅くまで天山湯治郷(箱根)23:00まで → 館山 里見の湯 23:00まで・年中無休 → ほったらかし温泉 22:00まで。夕方から動くならこの3つ
ぬる湯にじっくり貝掛温泉(37℃前後・無加水で熱交換加熱)→ 下部温泉(低温泉・源泉そのままと加温の2槽を持つ宿が多い)→ 畑毛温泉。「熱いほど良い」は誤りで、環境省はむしろ42℃以上の高温浴を避けるよう書いています
都心から近い大田区の黒湯(銭湯料金)→ 七沢・飯山(pH9.78)→ 鶴巻温泉(駅前)→ 奥多摩・檜原。ただし奥多摩と檜原は月曜休で受付も早い
歴史で選ぶ那須湯本(738年の正倉院文書に記録=関東で唯一、開湯が文献で裏づく)→ 湯河原(万葉集 巻十四3368番)→ 熱海(家康の湯治が『徳川実紀』に)→ 貝掛(1486年の記録と1882年の目薬)

6車で行くときの話

駐車場は、ほぼ全部が平面今回調べた範囲で高さ制限を明記した温泉の駐車場は1件もありませんでした。大きい車で困るのは高さではなく、台数の少なさと道の細さです
本当の障壁は「歩き」奥鬼怒は女夫渕から徒歩90分。北温泉は駐車場から宿まで「たいへん急な坂道」。車で横づけできない湯が関東には実在します
冬は道が閉まる金精道路、那須高原線の大丸より先、塩那道路、塩原矢板線、志賀草津道路。山の湯は11月〜4月が別のゲームになります

台数に余裕がある駐車場(大きい車でも安心)

場所台数メモ
草津 天狗山駐車場群第1 300台ほか計860台超完全無料・平面・シャトルバスあり。湯畑周辺は道が狭く一方通行が多いので、大きい車はここ一択
秩父温泉 満願の湯200台無料。21:00まで(最終入館20:30)
もみじ谷大吊橋(塩原)左岸123台+大型8台/右岸25台無料。大型バス対応の平面なので余裕があります
袋田の滝町営第1 42台/第2 223台無料。ほかに民間有料 約700台
ほったらかし温泉280台無料
宝川温泉 汪泉閣150台(大型10台対応)水曜・木曜休なので注意
箱根小涌園ユネッサン510台2時間まで無料、以降 平日1,300円/土日祝1,600円
大滝温泉 遊湯館(秩父)83台+障がい者用6台道の駅併設
両神温泉 薬師の湯58台+大型3台火曜休
ごりやくの湯(養老渓谷)60台+大型5台無料。水曜休

気をつける場所

冬の道路(例年の目安。年により前後します)

道路閉鎖期間影響
国道292号 志賀草津道路令和7年度は11/12 13:00〜4/22 10:00天狗山ゲート〜渋峠 17.9km。冬に万座へ行くなら万座ハイウェー(普通車1,070円)が唯一の道
国道120号 金精道路例年12月下旬〜4月下旬日光〜群馬県境。いろは坂は冬も通行可ですが凍結多発で冬用タイヤ必須
那須高原線(大丸〜峠の茶屋)令和7年度は12/15 11:00〜3/27 11:00大丸温泉旅館はゲート手前なので冬もアクセス可。閉まるのはその先
塩原矢板線/塩那道路令和7年度は11月下旬〜3月下旬・4月上旬塩の湯方面は矢板側へ抜けられなくなります
国道140号 秩父陸橋2024/10/25〜2027年度末冬季ではなく工事。迂回路ありですが所要が読みにくい
草津白根山には規制が残っています。2025年8月4日から噴火警戒レベル2で殺生ゲート〜万座三差路の約8.5kmが全面通行止めになり、2026年5月29日に解除されました。ただし火口から1km立入禁止、白根レストハウス・山頂駐車場使用禁止、湯釜見学不可は継続中です(草津町)。山中湖など高標高地は12〜3月に深夜から朝が凍ります。

7俗説の答え合わせ

よく聞く話判定実際は
「源泉かけ流し」には決まった意味がある✕ 法的定義なし国民生活センターが「温泉法において使用されていない」と明言。日本温泉協会の基準では源泉かけ流し=加水不可、かけ流し=加水可
温泉は源泉が熱いほど良い✕ 誤り療養泉の温度基準は「25℃以上」という下限だけ。環境省はむしろ42℃以上の高温浴を避けるよう書いています
pHが高いほど美肌△ 半分だけアルカリ性は皮脂を落とす方向。強すぎると乾燥します。「皮膚乾燥症」が適応症なのは塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉で、作用が逆向き
「強アルカリ性の湯」✕ 正式区分になし分析書の液性区分は5段階でpH8.5以上はすべて「アルカリ性」。「強アルカリ性」は宣伝表現
妊娠中は温泉が禁忌✕ 削除済み2014年7月1日の環境省通知改正で一般的禁忌症から外れました(医学的根拠が乏しいため)
冷鉱泉は温泉じゃない✕ 誤り温泉法は「25℃以上、または19物質のいずれか」。どちらか一方でよいので、11℃でも成分が足りれば温泉です
草津の時間湯は今も体験できる✕ 現存せず2019年に湯長制度廃止、2021年3月30日に地蔵の湯の時間湯が閉鎖(草津町公式)
積善館の「元禄の湯」は元禄時代の建物✕ 昭和5年1930年の建築。国登録有形文化財は「山荘」(1936年)のほう
伊香保の石段は昔から365段✕ 2010年から「1年365日賑わうように」と2010年に北側へ追加して365段に
箱根は「二十湯」△ 通称公式は「箱根十七湯」。二十湯は十七湯+早雲山・大涌谷・湖尻の通称で、大涌谷は十七湯に含まれません
大涌谷の湯は地下から湧いている△ 造成温泉100℃近い噴気と約13℃の湧水を混ぜて約60℃にする方式。成分は本物ですが「湧いた湯」ではありません
湯河原は関東唯一の万葉集の温泉△ 表現が違う公式の言い回しは「東日本/東国で唯一」。歌は万葉集 巻十四・3368番
熱海は日本三名泉のひとつ✕ 入っていない三名泉は有馬・草津・下呂(林羅山による)。そもそも「日本三大温泉」という定説の称号は存在しません
熱海の大湯間欠泉は自然に噴いている✕ 人工自噴は昭和初期に停止。1962年に市営温泉を引き湯して再現したもの
修善寺の独鈷の湯に入れる✕ 見学のみ「法律上の浴場としての位置付けではない」ため入浴不可。2009年に約19m下流へ移設済み
武田信玄の隠し湯✕ 付会伝説下部温泉について辞典類が明確に「付会伝説」と記載。信玄本人の利用を示す一次史料はほぼありません
養老渓谷の黒湯はモール泉✕ 成因が違う千葉の黒湯は化石海水+フミン酸・腐植質。モール泉(亜炭・泥炭層由来)とは別
埼玉に温泉はない✕ 誤り温泉地数31・源泉総数117(環境省)。正しくは「高温の自噴泉が少ない」
硫黄泉で銀のアクセサリーが黒くなる◯ 本当銀が硫化水素と反応して黒い硫化銀(Ag₂S)になります。金・プラチナ・ステンレスは平気
酸性泉は金属を傷める◯ 概ね本当草津などpH2前後では腐食・変色が起きます。時計・メガネの金属枠・アクセサリーは外すのが無難
横浜の万葉倶楽部は横浜の温泉△ 運び湯公式に「熱海温泉と湯河原温泉の源泉から毎日タンクローリーで運搬」と明記。天然温泉ではありますが自家源泉ではありません

8入る前に

安全のこと(環境省の指針から)

入浴後に体を流すか流さないか、答えは決まっています。環境省は「身体についた温泉成分は洗い流さず、タオルでふきとってください」と書いています。ただし例外がひとつ ──「刺激の強い泉質(たとえば酸性泉や硫黄泉)の場合、肌の弱い方は温水などで洗い流してください」。草津や那須で肌がヒリヒリするなら、流していいということです。

入れ墨・タトゥーのこと

厚生労働省が2016年3月18日付の事務連絡で観光庁の資料を周知しており、そこには「入れ墨をしていることのみをもって、入浴を拒否することは適切ではございません」と書かれています。示された対応例は①シール等で覆う ②家族連れが少ない時間帯を案内 ③貸切風呂を案内の3つ。

ただしこれは行政指導であって、拒否を禁じる法的規定ではありません。だから実際の対応は施設ごとにバラバラです。今回、公式に方針を明記していたのは以下だけでした。
不可:宝川温泉/大丸温泉旅館(「警察の指導により」)/姥子 秀明館/広沢寺 玉翠楼(シールも不可)/満願の湯(シール含む)/館山 里見の湯(「一切お断り」)
条件付き可:天山湯治郷(ひとりなら可・複数名は不可)/ユネッサン(カバーシールで覆えば可、水着エリアはラッシュガード等で可)/七沢荘(テープで隠すか貸切風呂)
それ以外の施設は公式に記載がない=現地確認が必要です。

タオルは、意外と貸してもらえません

今回調べた範囲で「無料貸出」を明記していた施設はゼロでした。鹿の湯=記念タオル販売400円、北温泉=販売、伊香保露天風呂=販売のみ、弘法の里湯=レンタルなし(売店で購入)、数馬の湯=販売300円/700円。レンタルがあるのは大滝乃湯(250円)、満願の湯(300円)、ごりやくの湯(200円)、宝川(200円)など。積善館と大丸温泉はフェイスタオルが料金に含まれます(大丸は湯浴み着も込み)。持っていくのが確実です。

9出かける前のチェックリスト